研究概要 |
従来の電動車椅子を使用できない方でも残存能力を生かして自力移動が可能となることを目指す,知的電動車椅子の実証実験用試作機を製作した.昨年度,試作した知的電動車椅子では,走行の安全性を確保するための障害物衝突支援機能を次のように強化した.障害物検知領域が広い測域センサを用いて電動車椅子に近づいてくる物体との衝突を防止する機能を生成した.まず,移動物体の存在を判定し,移動物体が存在する場合には,早期から走行速度を低下させるとともに,音声によって近づいてくる物体(人,車椅子など)に注意を喚起する.直進中の走行支援機能を向上させるため,ガラスや鏡を検知できる超音波センサを新たに設置して,衝突防止機能および狭い通路における走行能力を向上させることができた.さらに,車椅子側面に存在する障害物検知能力の死角を補うために,過去に観測した障害物情報の有効利用手段として「仮想センサ」と呼ぶ概念を利用した.障害物検知能力の死角を補うことによって,開口部の狭い出入り口をより安全に走行できるようにすることができた.車椅子使用者の快適性を高めるための改良として,ファジィ理論を適用した乗り心地の改善を行った.駆動モータへの,速度指令値の急激な変化をファジィ理論の適用によって抑制して,急発進・急停止が抑制され快適な走行が実現した.操作インタフェースの改良の一環として,操作者と電動車椅子の走行制御システムとのインタラクションを計るために,操作支援状況を提示するためのライトを新たに設置した,ライトと音声による操作者と電動車椅子のインタラクションは,操作者の操作能力の発達に寄与する.
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