研究課題/領域番号 |
21500519
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研究機関 | 滋賀県立大学 |
研究代表者 |
安田 寿彦 滋賀県立大学, 工学部, 教授 (60157998)
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キーワード | 生活支援技術 / 自立支援 / 人間機械協調系 / 知的車椅子 / 操作支援 / 衝突防止 / 測域センサ / 全方向移動 |
研究概要 |
1.障害を持つ幼児(小学校入学前)が利用可能な前輪駆動型電動車椅子の試作 国内では、幼児が使用できる電動車椅子が市販されていない。幼児が利用できる電動車椅子を試作した。すぐれた座位の保持装置の搭載、操作に不慣れな子どもたちの操作を支援する機能を搭載している点が開発した電動車椅子の特徴である。これらの機能によって、子どもたちの単独での移動が可能となった。 2.操作能力に適合した各種操作インタフェースの試作 障害児による実機走行を試みたときに、最初に解決すべき課題は、対象とする子どもたちが操作できる操作インタフェースを、子どもたちひとりひとりの能力に合わせて開発することであった。わずかに指を動かせる子どもたちのために、光学式のセンサを用いて指にの動きをとらえスイッチの入力に変換する「光学式操作装置」を、さらに、ばねなどの復元力を使用せずにレバー自身のバランスのみで復帰する機能を持つ操作インタフェース、ジョイスティックの入力を子どもたちの身体的能力や理解力に合わせてリアルタイムに制限拡張可能な操作装置などを開発した。これら操作インタフェースが子どもたち自身の操作による移動を可能とした。 3.環境の走行難易度の導入と操作能力評価方法の提案 操作者の操作能力を評価しようとするときに、操作者が障害物から適切な距離を保って走行を行っていたとしても、障害物の少ない環境や幅の広い通路の走行で適切な走行ができたからといって操作が優れていると評価できない。一方、多数の障害物が存在したり、狭く曲がり角が多い通路を走行する際には、障害物との距離が近くなってしまうことは不可避である。このような考察に基づいて、操作者の操作能力を評価するためには走行環境の評価が必須であるという着想にいたった。平成23年度においては、走行環境の走行難易度の評価方法を提案し、実機走行実験によって提案手法の妥当性の検証を開始した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成23年度に新たに導入した「前輪駆動型電動車椅子」、「光スイッチ式入力装置」、「微小操作入力で操作できるレバースイッチ」、「操作能力に適応できるジョイスティック型入力装置」などは、これまで電動移動機器の利用対照と考えられていなかった幼児や、従来の操作インタフェースでは電動移動機器を操作できない方への電動移動機器利用への道を開いた。これらの効用により、障害を持つ子どもたちによる実機走行実験が実施できた。理論的な研究成果としては、操作環境の評価という着想にいたっており、研究の進捗度をおおむね良好と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
開発した機器を活用した実機走行実験を主体に研究を推進する。電動車椅子の走行環境の走行難易度を考慮した「操作能力を評価手法」を走行実験を通して構築し、その確立を目指す。さらに、操作能力の評価値と操作支援の強さとの関係を探る。 実機走行実験を実施するにあたり、様々な被験者に電動車椅子を利用してもらうためには、操作者に適合した移動機器・操作インタフェースが必要となる。これら、実験的研究手法の課題に対して、適宜、必要な機能を備えた機器の開発によって、問題解決を図る。
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