研究概要 |
高齢者は,立位は維持できるが,歩行が困難な場合がある.この場合,日常活動において介助者が必要となる.特に,ベッドから便所までの移動の介助は,介助者のみならず被介助者にとっても肉体的、精神的な負担になる.独立行政法人新エネルギー産業技術総合開発機構(NEDO)は平成17年度~平成19年度にかけて人間支援型ロボット実用化基盤技術開発事業を実施し排泄総合ロボット「トイレアシスト」の研究を行った.しかしながら,当該研究は広い介護施設での利用に限定されている.市販しているものにはリフトで吊り下げる機械があるが,本研究は,自宅でベッドからトイレまで立位移動を介助するロボットを開発しその有効性を実証することを目的にしている.初年度は,パワーアシスト特性実験として先行研究の複数モータ駆動のロボットアームを用いてパワーアシスト制御を試みた.その結果,モータの駆動数を変えることで出力トルクを変えることが確認できた.並行して,ベッドや便座からの起立、着座のヒトの動作を解析し,着座及び起立動作の補助をする試作機を設計した.駆動は、起立着座のパワーアシストに複数モータによるパワーアシストを応用し,一つの軸に12個のギヤ付モータを用いている.複数モータで構成することは,瞬間最大電力を抑えることができ,大電流を得ることが難しい蓄電池を電源とする駆動においても滑らかな始動が期待できる.次年度は,コントローラの開発,バイラテラルサーボを用いた腕の伸縮部,及び全方位移動機構を用いた車体を設計する.コントローラは被介助者の応答を学習し,手すりの上下,腰の支え,全方位移動台車を制御する.バイラテラルサーボは先行研究で開発したものを本ロボット用に改良する.バイラテラルサーボは電源が切れても拮抗作用で停止し続ける機構で安全性が高い特徴を持っている.全方位機構は過去に設計・製作し実験したものを応用する.
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