研究概要 |
高齢者は立位維持できるが,歩行が困難な場合がある.この場合,日常生活において介助者が必要になる.特にベッドからトイレへの移動の介助は,介助者のみならず被介助者にとっても精神的,肉体的な負担である.そこで,自宅内で,立位で移乗することを支援する機器が幾つか市販されている.しかし,市販の立位移乗装置は,バンドの固定するときに介助が必要なものが多く,電動の立位移乗装置の場合は故障があった場合に専門知識の乏しい介護者では対応が難しいという課題がある. 本研究の立位移乗装置は被介護者自らが操作できる介護ロボットを目指しており,複数モータを使ったアクチュエータを用いることで高い信頼性を持つことを特徴としている.複数モータで駆動することにより瞬間最大電流を抑えることが可能で,大電流を得ることが難しい蓄電池を電源とする駆動においても滑らかな始動が期待できる. 一般住宅内で使用できるように本体のサイズは幅500[mm]奥行500[mm]高さ1500[mm]とした.基本構造は手すりと伸縮するアームを備えており,被介護者はアーム先の棒に座り,手すりを握る.起立の時は手すりで斜め上に引っ張られると同時にアームで下から支えられながら起立する.着座の時は,逆に,アームで下から支えられながら着座する. 本年度は,本体全体の基本設計と伸縮機構の設計を行った.伸縮機構は伸縮長300[mm],定格荷重は片側で600[N]が必要である.伸縮速度は実際に製作して学習制御する予定であるが,最大速度20[mm/sec]とした,市販の伸縮機構ではこの仕様を満足するものがないため基本設計から検討した.次年度では,設計した伸縮機構を製作し設計仕様を満足しているか確認する.制御器を設計・製作し,起立と着座の制御をプログラムし,健常若年者と高齢者でパワーアシストを実験し有用性を評価する.
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