1 .感情認識システムの基礎となる、指点字の打点認識システムの認識率向上のため、加速度センサを装着した被打点者の手を机上でアーチを作って置いた場合と、手指と手掌全体を机上に付けて置いた場合の、指点字の打点によって生じる加速度の特徴について分析した。その結果、机上でアーチを作って置いた場合、指中央の打点の減衰振幅比が指先の打点の減衰振幅比よりも小さく、手指と手掌全体を机上に付けて置いた場合、指中央の打点と指先の打点の減衰振幅比には差が見られなかった。よって、これまで打点認識アルゴリズムにおける仮説が検証された。また、加速度センサを固定する指輪と机上の接触による衝撃加速度による誤認識を防ぐため、加速度センサの固定方法を検討した。 2.限定された場面(感情表現する文を変えずに、感情を打点の強さと速さで表現している場面)において、盲ろう者から打点された指点字に含まれる感情を認識するシステムの開発を進めた。21年度までに導出された感情認識アルゴリズム(被打点者が装着した加速度センサで検出した、打点によって生じる衝撃加速度の振幅と、打点開始から次の打点開始までの区間長(打点時間と休止時間の和)から感情を認識する)のシステム化を行った。 3. 21年度に実施した、指点字を習得していない健常者が、指点字で感情表現するための教示手法に関する実験について、引き続き分析を進めた。指点字を習得していない健常者が、導出された教示手法によって、どの程度感情の打ち分けができていたか評価した。
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