研究概要 |
上肢および下肢が不自由で発語も困難な重度障害者は,日常動作から家族とのコミュニケーションにまで不自由さを伴う.現在,障害者用の支援機器は数多く開発されているが,上記の様な重度障害者が容易に操作できる機器は殆どない.そこで,重度障害者においても随意的に動かせる「舌の動作」を利用して,PC用のマウスとして操作可能であり,重度障害者のコミュニケーション支援・文字入力支援機器として利用するための「舌マウス」の開発を目指している. 2009年度の実施計画は下記の2項目であり,成果をそれぞれに記した. 1)口腔内に設置可能なリモートコントローラーの開発 歯科矯正用マウスピースの上顎部分に,操作用スイッチ(4個),RFタグのIC(4個)およびアンテナ(アンテナ長:約1m)を印刷した回路基板を設置することにより,口腔内に設置可能であり,駆動用の電池が不要なリモートコントローラーの試作を行った.尚,5chタイプのコントローラーの作成を試みたが,基板部分の省スペース化に問題があり4chタイプの製作に留まった. 他方,当該口腔内コントローラーからの信号を送受信するための,受信アンテナの小型化についても併せて検討を行った.実験の結果,当該口腔内コントローラーと小型受信アンテナ(約50×50mm)を用いた場合,頬脇に受信アンテナを設置した状態であれば,十分安定した通信が得られ,本システムの実利用の可能性を認めた. 2)コントロールソフトの開発 当該研究で開発した口腔内リモートコントローラーを「舌マウス」として使用し,コミュニケーション支援や文字入力支援をするためのコントロールソフトの開発を行った.
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