研究概要 |
本研究では、中高齢者、初期白内障患者が日常生活で訴える眩しさ・視機能低下の改善を目的としたほぼ透明な遮光眼鏡の開発を目指している。今回の申請では、可視光線の特定波長狭帯域吸収によるコントラスト感度改善効果に加え、屋外(明所)での防眩効果の向上を目的に、紫外線によって発/退色する調光機能の2つの異なる特性を合わせもった1枚のフィルターレンズを作成し、日常視環境試用での有効性を評価する。具体的には、レンズの発色濃度・狭帯域吸収度と視機能改善効果の関係を検討し、安全性(特に暗所、薄暮環境)を考慮した最大改善効果を示す調光濃度と吸収率の組合せを探索する。 本年度は、中高齢健常ボランティアと白内障患者計15名を対象として、初年度に作成した9種類の検査用フィルターレンズ(調光濃度3種、ND着色濃度3種:τv87.5%,75%,50%、狭帯域吸収度3種:Ab25%,50%,75%)のうち、ND着色と狭帯域吸収フィルターを用いてコントラスト視力検査(両眼開放、遠見最良屈折矯正)を行った。全対象、フィルター装用によりコントラスト視力は向上したが、効果濃度の組み合わせは各対象で異なり、τv75%着色とAb50%吸収での改善効果を認める対象が多く、両者とも15例中9例であった。次いで、各対象で最も視機能改善効果が見られた組み合わせ濃度から、調光型狭帯域吸収遮光眼鏡(サイドシールド付き)を作成して、日常生活での装用モニターを開始した(平成23年1月より)。モニター期間は最低3ヶ月間で現在実施中である。3ヶ月以降はモニター者の同意が得られれば続行する。モニターによるこの遮光眼鏡の評価には、「視覚機能についてのアンケート(NEI VFQ-25日本語版ver1.4)」を用いた。アンケートの実施はモニター開始前と3ヵ月後、これ以降は3ヶ月単位で行う予定である。
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