研究概要 |
本年度は、強酸性電解水と強アルカリ性電解水を生成できる従来の装置に、電磁弁をマルチレンジタイマーで制御した混合装置を試作し取り付け、ワンタッチで強酸性電解水と強アルカリ性電解水を自動混合できる仕様とした。強酸性電解水と強アルカリ性電解水の混合を時間的に制御することで混合量を変え、弱酸性領域,中性領域の電解水を得ることができる。まず、タイマー別に自動混合して得た電解水の性状を調べるため、pH、酸化還元電位(ORP)、有効塩素濃度(AC)を測定したところ、強酸性電解水、弱酸性電解水,中性電解水の生成を確認した。次に、本装置を在宅で使用することを想定し、電源部を除いた装置全体の形状を構想し試作した。容量1Lとし、電極間距離2cm、隔膜は容易に取り替えができる安価なグラシン紙を用いた。このグラシン紙の電気分解用の隔膜としての性能、耐久性についてはすでに基礎実験を行い、耐久性は市販の合成膜に比し劣るものの、性能では問題ないことを確認した。 次に、本試作装置で作成した弱酸性電解水,中性電解水の殺菌効果について、様々なレベル2の細菌を用いて観察した。一般細菌のなかでも芽胞を有するセレウス菌などに対しても短時間で強い殺菌効果のあることが明らかとなり、在宅用での消毒剤として利用できるものと期待できる。 強酸性電解水は殺菌作用は強いものの、強酸性という非生理的pHを有する。一方、弱酸性,中性電解水は強酸生電解水と同様、強い殺菌作用を有し、より在宅利用に適していると考えられる。今年度は電源部を除き、概ね在宅用の各種電解水自動作成装置の試作ができたものと思われる。
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