本研究では、義足使用者が装着したウェアラブルセンサの情報をもとに、義足(機械)が階段の上り下り、坂道歩行など、使用者の様々な歩行の場面を識別するためのアルゴリズムの生成を目的としている。 本年度、同目的を達成するため、次の研究を実施した。 1内部に6軸力覚センサ、靴前足部と踵部間の角度を測定する角度センサ、踵部の姿勢を調べる傾斜センサを全て組み込んだ靴を設計製作した。同装置に加え足関節及び膝関節の屈曲角度をリアルタイムで測定できるセンサを人体に装着することで、歩行中の運動力学的及び運動学的データを計測できるシステムを構築した。 2同システムを用いて20名の健常者の様々な路面での歩行データを取得し、テータの分析を実施した。 3データを分析することで、同ウェアラブルセンサの有効性を確認し、模擬義足による歩行実験で義足使者にも同システムが適応できることを確認した。 具体的には、ウェアラブルセンサでは、靴内部に2点の6軸力覚センサを組み込むことで、足底にかかる垂直方向、前後と左右の水平方向の力とそれら力の荷重中心を測定できる。また、2点の力覚センサの相対的な角度変化は、設置した小形の関節角度計で測定できる。なお、これらを靴内部に組み込むことで、平地、階段、スロープ、片流れ路面、砂地、砂利道など歩行路面の状態や屋内外などの場所を問わず測定することが可能となった。また、靴内部にセンサを組み込むことで、健常者、義足使用者の何れのデータも取得することが可能となった。本年度は、計画に基づき上記各路面における20名の健常者のデータを取得し、得られた波形を分析した。この結果、センサから得られるデータのピーク値及びその発生時間などから、平地、階段、スロープなどの歩行条件を識別できる可能性を見出した。 研究成果は、次年度シンガポールで行われる国際学会(第6回バイオメカニクス国際会議)等で発表する予定である。
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