研究課題/領域番号 |
21500532
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研究機関 | 藤田保健衛生大学 |
研究代表者 |
大橋 篤 藤田保健衛生大学, 医療科学部, 准教授 (30310585)
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研究分担者 |
中井 滋 藤田保健衛生大学, 医療科学部, 教授 (20345896)
村上 和隆 藤田保健衛生大学, 医学部, 講師 (30267950)
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キーワード | 酸化修飾代謝物質 / ラジカル捕捉活性 / 酸化ストレス / 維持透析 / 運動機能障害 |
研究概要 |
透析患者は頻回且つ長期間の体外循環療法で活性化された好中球より産生される活性酸素に暴露され、動脈硬化や透析アミロイドーシスなどによりQOLの低下を招きやすい。現在、酸化ストレスを抑制すべくビタミンE被覆透析膜(PVS)や修飾タンパク質を吸着除去するポリメチルメタクリレート(PMMA)膜が臨床応用されている。本研究は、透析膜の生体適合性を血漿成分の酸化ストレスマーカーや運動機能評価およびQOLアンケート調査により評価することである。初年度に血漿中で半減期が長く大量に存在する血清アルブミン(HSA)の酸化修飾度の評価法と対象とする透析患者を整えたため、本年度は患者の透析膜条件を対照のポリスルホン(PS)膜よりPVS膜およびPMMA膜に3月間クロスオーバーで変更し、栄養状態やHSAの酸化還元率と抗酸化力の測定を中心に行った。その結果、透析患者のHSAの抗酸化力は健常者に比し低値であるが透析で改善した。透析前におけるHSAの酸化還元率はPS膜とPMMA膜およびPVS膜に有意差は認められなかったが、HAS画分のラジカル捕捉力はPVS膜で向上する傾向にあった。ミニモジュールを用いた体外灌流実験でHSAの還元能はHSAとビタミンEの単純接触や酸塩基平衡の是正のみでは改善しない結果を得た。透析療法での体外循環においては透析膜面のビタミンE処理による生体適合性の向上効果が酸化ストレス産生を抑制した可能性が示唆された。また、透析器変更の観察期間が終了したため、肩関節可動度閾判定とQOLのアンケートの解析ならびに酸化ストレスマーカーの総解析を施行中である。
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