研究概要 |
ALSや頚椎損傷などで,頭部の運動機能しか残されていない重度の身体障害者ための「マルチセンサアレイを用いた個人特性適応型インターフェース」を開発するため,下記に示す項目について研究を実施した。 研究成果は、国際会議IEEE Computer Society主催の「International Conference on Pervasive Computing」並びに長岡技術科学大学主催の「生体情報処理と高度情報処理シンポジウム2012」(招待講演)で研究発表を行った。 (1)Fittsの法則を用いたインターフェースのユーザビリティの定量的評価 これまでの研究で、開発したインターフェースは、呼気の強弱によりメニューが回転し、歯音信号でマウスをクリックする回転型メニュー式が適していることを明らかにした。本年の研究では、インターフェースのユーザビリティをより定量的に評価するため、Fittsの法則に則った評価実験を実施した。実験では、ディスプレイ画面上に2つの長方形のターゲットを作成し、呼気で、ポインタを右(左)から左(右)に移動し、歯音でクリックする動作を行った時のその動作に必要な所要時間を計測した。実験の結果、ターゲット間距離が短いときは、被験者によるばらつきは大きいもののFittsの法則に従い、通常のボール型マウスと比較すると、約4倍の操作時間を要することが明らかになった。 (2)環境制御統合システムの構築 開発したインターフェースと学習機能付き赤外線リモコンをパソコンのUSBに接続し、エアコンやテレビ、照明をパソコン画面から制御できるシステムを構築した。PCのインターフェース画面は、回転型メニュー式で、環境制御機器の制御の種類を割り当て、呼気によりメニューを回転させ、歯音信号により動作決定をおこなう。学習機能付き赤外線リモコンは、様々な環境制御機器に付属する赤外線リモコンの制御コードを学習する機能を持っている。開発した環境制御統合システムは、安定に動作することを確認した。
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