研究概要 |
階段やトイレ、浴室には安定歩行や動作補助のために手すりが設置されている。一般的に設置されている手すりの多くが直線形状で,階段用には段の勾配に平行に取り付けられており,トイレではL型の直線形状が設置されている。本研究は,握りやすくまた使いやすい曲線形手すりの開発と,その有効性を力学的解析による定量的評価により明らかにするものである。具体的には,トイレ用として円形を,また階段用としてらせん形の曲線形手すりを考案し,筋電計等を用いて解析評価を行う。これにより,握力の弱い高齢者や身障者にとっては,より有効な手すりが開発され,生活の利便性が高まることが期待される。 今年度は,トイレ用手すりとして曲線形の円形と一般的に使用されているL形の両手すりを用いて,主に高齢者や身障者を被験者とする実験を行う予定であったが,持ち出し可能な実験装置の製作が間に合わなかったため,従来の実験装置を用いて,これまで被験者例の少なかった女性の被験者を多く実施して,その特徴を明らかにした。男性と女性とで大きく使用状況が異なることが判明した。 また,階段用の手すりに新たに開発したらせん状曲線形手すりについて,外部に持ち出して高齢者や身障者を被験者とした階段昇降実験を行うために,新たに持ち運び可能な実験装置を製作し,近隣のリハビリテーション病院にて実地検証を行った。病院の協力も得られて有用なデータが採取でき,その結果については,即時に学会にて発表した。らせん形手すりは,これまでの階段手すりにない形状で,使用者に安心感を与え,特に動作が困難な高齢者や身障者にとっては有効であることが明らかになった。
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