本研究の目的は、静止画像に埋め込まれた動き情報が、運動学習の際に有効な情報と成りえるかを検討することであった。対象とした動きは、投球動作における上肢の動きであり2つの実験を行った。まず、10人の被験者が肘関節と手関節の動きの位相差が変化する投球動作を観察し、どの瞬間で動きの違いが識別されるかを検討した。次に、動きを静止画で表し動きが識別された瞬間を確認した。その結果、静止画と連続画で、ほぼ同じ瞬間で動きの違いが識別され、静止画のある局面が動画提示と同様に動きの違いの識別に役に立つことを確認した。さらに、投球動作の角度、角速度、トルクを算出して、違いが検出された瞬間の各波形の特徴を検討した。その結果、その瞬間は、一連の動きのなかで、肘関節角速度の上昇前の関節トルク値が上昇する瞬間であることを明らかにした。
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