研究概要 |
小学4年生86名(男子42名,女子44名)を対象とし,3学期中に,「ちびっ子ヘルストレーナーへの道」と名付けた健康教育の授業を実施(6時間単元)した。授業は,小学校の担任教師,養護教諭,栄養士と,外部講師として健康教育または作業療法学が専門の大学教員,小児科の医師の計9名で企画立案し,実施した。先に示した単元の前と後に加速度計による身体活動量を各10日間づつ測定した。また,保護者に対して自身の子どもの活動性について,単元前に質問紙調査を行った。保護者が評価した子どもの活動特性で分類し,男女別に活動性高群と低群で単元前後での身体活動量の変化を比較した。その結果,ベースライン(単元前)の平日または休日の身体活動量は男女とも,活動性高群に比べ低群で身体活動量が低値を示し,平日ではいずれも有意な差ではなかったが,休日では男女ともに1日歩数で有意差があった。活動特性の要因と単元前後の要因の2元配置分散分析では,平日,休日の両方で,男女ともにいずれの項目も活動特性と単元前後との要因の交互作用は有意ではなかったが,平日では,男子では単元前の平均値はいずれの項目でも活動性高群に比べ有意ではなかったが低群で低値(1日歩数は約1300歩,LC1-6は8分,LC7-9は3分)を示す動きであったにもかかわらず,単元後には1日歩数とLC1-6は逆に活動性高群に比べ低群で有意ではなかったが高値を示す動きであり,LC7-9では両群が同じ値を示す逆転現象を示した。女子では男子のような逆転現象は見られなかったが,いずれの身体活動量の項目でも単元前に比べ単元後で活動性高群と低群の差は小さくなった。このことから,本研究で行った健康教育の授業実践により,保護者が活動性低いと評価した児童でも,平日では活動性高いと評価した児童と同程度に身体活動量を増加させる効果があることが示された。
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