本研究では学校現場で,体育授業を中心とした取り組み(介入)を行い,その結果をもとに,体力向上プログラムを作成することを目的にしている。本年度は小学校の現場で,スロージョギングの授業を実践した.具体的には,小学5年生2クラス,計58名を対象に,3時間の単元を組み,以下のニコニコペース持久走の授業を行った. 1時目:スロージョギングである分速100mで5分間を2回,2時目:同じ分速100mで続けて15分間,3時目:自分に合ったニコニコペースで15分間走ってみよう(続けて15分間).この単元前後で,①持久走についての意識調査,②シャトルラン(新体力テスト),③授業を受けた感想を調査した.同時に授業中に加速度計を装着させ,身体活動量(授業中の総歩数)を調査した.その結果,持久走は楽しいと思うかという質問に対し,単元前(とても思う20%,まあまあ思う44%,あまり思わない32%,全然思わない4%)に対し単元後(とても思う62%,まあまあ思う38%,あまり思わない0%,全然思わない0%)ではとても楽しいと思う子どもは増え,楽しいと思わない子どもは消失した.次に,単元前後のシャトルランの折り返し回数は,単元前(41.0±4.2回)から単元後(45.5±3.8回)と有意(P<0.05 )に増加した.また,単元前のシャトルラン回数をx軸,単元前から後への変化率をy軸とし関連性を調べらところ,有意な負の相関関係(r=0.542,p<0.01,y=0.758x+48.48)が見られ,全身持久力が低い子どもほど層化していることが示された.これらの授業中の総歩数か(4421±159歩)ら評価すると,いずれの授業でも先行研究の体育の授業と比べ高い数値を示した.以上のことから,体力が低い子でも楽しく出来る体つくり運動,特に,も全身持久力を高める運動として効果的な取り組みである可能性が示唆された.
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