本研究は、アスペルガー症候群児(AS児)の発達性協調運動障害に伴う不器用な運動発現を、発達検査によるスクリーニングや障害レベルの判定だけではなく、機械的に測定することで協調運動発現状態の不具合(不器用な動き)の実態を明らかにすることを目的とするものである。また、合わせて、協調運動発達検査の結果と機械的測定で得られた結果を比較解析することで発達検査の信頼性と妥当性を検証するものである。 平成21年度の研究計画は、東海地区を拠点に活動している某NPO発達障害児支援団体に加盟している6歳から12歳のAS児の内、検査・研究に同意の得られる児童を対象にムーブメントABC検査、全身反応測定、重心動揺検査を実施する計画であった。しかし、測定機器の入手に予想以上に時間がかかり、5月初旬に実施された某発達障害児支援団体の年1回の研究倫理委員会に研究実施の承認を取り付けることができなかった。そのため、平成21年度は団体のAS児の研究協力を得ることがでず、予定していた研究計画を遂行することができなかった。そこで、独自に発達障害支援研究会などを通して協力が得られる障害児を募り、大学での測定実施、および子どもが活動している勉強会会場や自宅に出向き、平成22年2月までに24名(男児18名、女児6名)の測定を実施することができた。各被験者のデータ分析はその都度実施した。ただし、データ収集ができた対象人数が少なく、年齢にばらつきが多いために、平成21年度は研究成果を公表するには至らなかった。現在基礎資料としてまとめているところである。 平成22年度は、某団体の研究倫理委員会の審査を通過させ、より多くのAS児の測定を実現し、研究計画に従って成果発表を積極的に行っていく所存である。
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