本研究は、アスペルガー症候群児(AS児)の発達性協調運動障害に伴う不器用な運動発現を、発達検査によるスクリーニングや障害レベルの判定だけではなく、機械的に測定することで協調運動発現状態の不具合(不器用な動き)の実態を明らかにすることを目的とするものである。また、合わせて、協調運動発達検査の結果と機械的測定で得られた結果を比較分析することで発達検査の信頼性と妥当性を検証するものである。 平成23年度は、前年度までの研究で被験者数が不足していた7歳児、11歳児の年齢層のAS児を中心に検査、測定を試みてきたが、参加協力と同意を得ることにかなり手間取った。さらに、検査、測定に関して直前になって都合や心的不調を訴える被験者が出て測定を中止せざるを得ず、思うようにデータの収集蓄積ができなかった。今年度得られたデータを、過年度データに加え再度分析を試みた。 この3年間で得られたデータをもとにまとめた論文である「発達障害児の全身反応時間の実態と協調運動発達検査値との関連」を学会誌に投稿し、現在査読審査中であるが採用の判定は得ていない。また、続いて「アスペルガー症候群児の重心動揺の実態と協調運動発達検査値との関連」について論文をまとめているところであるが、諸事情により完成がかなり遅れている。早く完成させ、学会誌に投稿し、本研究の報告書を提出するまでには間に合わせたい。 なお、本研究で得られた静的バランス運動である重心動揺値と動的バランス運動の領域に位置するであろう全身反応時間値との関係については、24年8月に筑波大学で開催される第60回日本教育医会大会で発表することにし、抄録投稿の準備を合わせて行っているところである。
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