平成21年度においては、主として、文脈干渉効果を題材として、運動学習における反復練習についてのメタ認知の妥当性を実験的に検討した。 被験者(バドミントンの初心者60名)は、3種類のバドミントンサーブ270試行の練習を、ブロック練習、ランダム練習、2種類の自己調整練習の4条件下で練習し、翌日ランダム順でのテストを受けた。実験と並行して、練習方略に関するインタビューを行った。実験の結果、明確な文脈干渉効果が見られた。にもかかわらず、自己調整条件でランダム練習方略を採用した被験者は皆無であり、全員がブロック練習か中間型の練習方略を採用した。しかも、テストがランダム順でなされることを予告しても、この傾向は変わらなかった。インタビュー結果からは、初心者がコツをつかむには反復練習が必要であるという強い信念が存在しており、このようなメタ認知が上記のような結果の背景にあることが分かった。これらの結果は、少なくとも今回設定した学習状況においては、運動学習に関するメタ認知が必ずしも妥当なものではなかったことを強く示唆している。 また、次年度においては、この実験を継続するとともに、質問調査法を用いて広範囲に運動学習のメタ認知の実態を分析する予定である。その準備として、質問に使う調査項目の洗い出し作業を行うとともに、予備調査を実施した。
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