平成22年度の研究目的は、(1)平成21年度の実験に引き続き、バドミントンサーブの練習事態において、練習者が自発的に採用する練習順序方略が、従来の文脈干渉効果に関する研究で明らかにされてきた有効な順序方略と一致するのかを明らかにすること、(2)他者の学習行動を観察することによって、学習者が採用する学習方略にどのような変容がもたらされるのかを明らかにすること、(3)日本体育学会、日本スポーツ心理学会において発表し、自己調整による運動学習の可能性について情報交換をすること、の3点であった。 このうち、(1)については、メタ認知レベルでは文脈干渉効果に沿った判断をする傾向があるにもかかわらず、実際の行動レベルでは不適切な方略を選択しているという興味ある結果を得ることができた。この結果をより明確にするため、当初予定していなかった新たな条件(学習者による自己調整の範囲をさらに拡大した条件)を設定して実験を行った。その結果、課題の難易度に応じた練習量の配分という側面に関しても、適切な自己調整がなされていないことが明らかとなった。新たな条件を設定して実験を行ったため、(2)の目的に関しては、十分なデータを取ることができなかった。(3)については、特に上記の結果を中心に研究発表、あるいはシンポジウムで報告し、様々な研究者との情報交換をすることができた。 (2)の目的については、最終年度において実験を行う予定である。
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