平成19年度に文部科学省からの委託を受け、京都府立桃山高等学校で柔道の研究授業を行った際に用いたプログラムは、礼法や投技等の柔道の「動き」の学習の中で思考や探求を促し、伝統的行動原理の発見に導く「発見型柔道学習」プログラムであり、このプログラムを展開することで、柔道の非専門教員でも生徒達の技術や学習意欲を向上させることができ、生徒達に好イメージを持たせることができた。また、武道教育の重要課題である「伝統的行動の仕方」を理解させることに関しても好結果を得ることができた。ただし、研究授業の対象が高校1年生の男子生徒達であったこと、技術、戦術の教材が投技に偏っていたことなどから、女子生徒にもこのプログラムが有効なのかという問題や、固技を加えて技術・戦術を教材化していくという課題が残った。これらの問題のうち、女子生徒に対するプログラムの有効性を検討するのが、本年度の研究目的であった。この目的を達成するために、平成21年8月~10月の期間、京都府立桃山高等学校第1学年の女子生徒36名を対象にして「発見型柔道学習」プログラムよって授業を実施した。プログラムの有効性の検証は、平成19年度の研究と同様に単元開始時と終了時に実施した(1)学習者による授業評価の比較と、単元中期と終了時に撮影した(2)投げ動作のビデオ映像を比較することによって行ったのであるが、(1)、(2)ともに平成19年度に男子を対象として行った授業とほぼ同等の結果が得られ、「発見型柔道学習」プログラムが女子生徒に対しても有効であることが確認できた。また、授業を評価していく中で初心者の受身動作の稚拙さの原因を明らかにすることができ、上達を促進するための方法や器具を開発するに至った。そして、これらの内容を含みバージョンアップした「発見型柔道学習」プログラムを作成し、DVDも併せて作成した。
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