平成19年度に文科省からの委託を受け、京都府立桃山高校で研究授業を行った際に用いたプログラムは、柔道の動きの学習の中で思考や探求を促し、伝統的行動原理の発見に導く「発見型柔道学習プログラム」であり、このプログラムを展開することで、柔道非専門教員でも生徒達の技術や学習意欲を向上させることができた。ただし、授業の対象が高校1年の男子生徒であったこと、教材が投技に偏っていたこと等から、「女子生徒にもこのプログラムが有効なのか」という問題や、固技を加えて教材化していくという課題が残った。これらの問題の内、女子生徒に対するプログラムの有効性は昨年度に確認したが、授業担当教員が柔道専門教員であったので、「非専門の指導者でも同様の結果が得られるのか」という問題が残った。この問題を解決するのが、本年度の主な研究目的であった。この目的のために、平成22年4月~平成23年1月の期間、京都教育大の1回生女子を対象にして「発見型柔道学習プログラム」よって授業を実施した。授業の有効性の検証は、これまでの研究と同様に単元開始時と終了時に実施した(1)学習者による授業評価の比較と、単元中期と終了時に撮影した(2)投げ動作のビデオ映像を比較することによって行ったのであるが、(1)、(2)ともに高校女子生徒を対象に柔道専門教員が行った授業とほぼ同等の結果が得られ、「発見型柔道学習プログラム」を用いれば、非専門の指導者であっても女子生徒に対して有効な授業が展開できることが確認できた。また、平成22年10月~平成23年1月の期間、京都教育大の男女学生を対象にして実施した授業の中で、受身動作等の上達を促進するために開発した教具の効果を検討した。授業終了後に評価した動作得点を以前の授業と比較した結果、得点は有意に高い値を示し、教具の有効性が確かめられた。さらに、受身動作の評価の過程で受身指導のための重要なポイントを発見するに到った。
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