新しい状況に創造的に関わってゆくコミュニケーション能力を育て、自己覚知や異なる価値を尊重する態度を涵養するための福祉援助技術指導プログラムモデルを開発し、これを提案することを目的としている。本年は、効果的調査モデル形成のためのアプローチ方法細部の検討として、内的変化と外的変化の連動を明らかにするための測定方法を、以下のように検討した。 1.即興表現指導のための予備プログラム作成ならびに改善プログラムモデル作成と実施、調査デザインの調整 (1)改善プログラムモデル45分×4回を構成して、社会福祉学部2年次生対象科目「ダンス・セラピー(参加者数15)」、同3~4年生対象科目「身体表現と関係形成(参加者数5)」で実施した。 (2)改善プログラム前後に記録された参加者と対照群の課題試行を、作成された観察尺度に基づき評価し、運動・表現とコミュニケーション行動の変化を検討した。3種類の身体態度に対する反応を課題とした。プログラム前の試行で2つのグループ間にすでに反応の差があると考えられる結果であった。すなわち、被験者数のより多かった「ダンス・セラピー」群に比べて「身体表現と関係形成」群の方が反応のパターンに広がりがあった。また、プログラム参加後の反応では、「目線の高さを合わせる」「まず同調してみる」等と言った、互いにより似通ったパターンへと推移した。 2.各被験者群への構造的質問紙調査により、共感特性と運動経験についての情報を蓄積した。 年度当初の予定では、1と2をあわせて考察する計画であったが、研究者の異動のため、一部目的を達することができなかった。現在、1と2の関係づけかた等について継続して検討中である。
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