研究概要 |
本研究の目的は、具体的な時代と地域を特定した上で、人々にとってのスポーツイベントの意味作用を分析することにある。特に、歴史を踏まえて、沖縄に暮らす人々が東京オリンピック(1964年)や国民体育大会(1973・1987年)を通して、どのように「沖縄人であること」や「日本国民であること」を構築し、生きてきたのかに関して、その文化的社会的諸相を探ることである。3年計画の初年度において、以下の研究成果が得られた。1.沖縄の文化と社会に関する歴史書、日の丸・君が代など日本政府と沖縄に関する著作、さらに東アジアにおける沖縄の政治性に関する著作を収集し、その分析と考察を行った。2.沖縄における二つの国体である若夏国体(1973年)と海邦国体(1987年)に関する記録映像を沖縄県立公文書館で視聴・分析し、それぞれのイベントの社会的文化的背景を考察した。3.American Anthroporogical Association 108th Annual Meetingにおいて、日本におけるオリンピック大会の開催とその政治性について発表し、人類学者たちと議論した。4.イェール大学の教員との議論や図書館での資料渉猟から東アジアにおける沖縄の政治性に関する英文著作を手に入れ、分析した。5.The International Journal of The History of Sport (Vol.27-3,2010年3月発行)において、"The Creation of Professional Sports Leagues in Japan : A Cultural Histoly of Human Networks"と題する日本におけるスポーツ文化の受容形態と文化的諸特徴に関する論文が掲載された。6.研究代表者のホームページが充実し、国内外の研究者などとの議論、そして教育現場に還元するための基礎が築かれた。
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