研究概要 |
本研究の目的は、具体的な時代と地域を特定した上で、人々にとってのスポーツイベントの意味作用を分析することにある。本研究では、特に沖縄とそこで暮らす人々の歴史をふまえ、沖縄に住まう人々が東京オリンピック(1964年)、国民体育大会(1973年・1987年)、そして高校野球を通して、どのように「沖縄人であること」「日本国民であること」を構築し、生きてきたのか、その文化的社会的諸相を探ることを課題にしている。3年計画の2年目である今年度は、昨年度の実績の上に、以下の研究成果が得られた。1.沖縄における東京オリンピック、国民体育大会、及び高校野球の社会的文化的諸相に関する文献、映像資料を収集し、沖縄の文化と社会に関する資料をふまえて、分析考察することができた。2.1964年東京オリンピックによる沖縄及び東京の変容、そしてその遺産の影響を現代のオリンピック運動に関係づけて分析し、発表することができた。3.これらについて国際会議で発表することで、ソウル・オリンピック(1988年)や北京オリンピック(2008年)との比較分析が韓国、台湾、オーストラリア研究者との議論から進んだ。4.沖縄における高校野球に関する資料を収集し、日本における高校野球の文化史を神戸、沖縄、台湾の視点からまとめる準備ができた。5.Satoshi Shimizu:"Nation Building at the 1964 Tokyo Olympics:Torch Relay in Okinawa and Tokyo",Brownell,Susan and William W.Kelly(eds.)The Olympics in East Asia:The Crucible of Localism,Nationalism,Reionalism,and Globalism.Council on East Asian Studies,Yale University:New Haven,Connecticut,2011.の原稿が完成し、2011年度中の出版を待つ状態になった。
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