研究概要 |
本研究では,小型軽量な加速度センサを用いて,データログシステムやデータ転送システムを活用して,ランニング等の動作に妨げとならない着地衝撃および下肢に加わる衝撃加速度動態を計測するシステムを構築し,下肢-シューズ系の粘弾性特性と衝撃加速度の伝達特性を評価することを目的とする. 22年度においては,21年度の研究成果を関連する学会に公表し,また,以下の研究を実施した. 1)21年度の研究成果である下肢の粘弾性モデルによる跳躍動作と走行中の着地時の衝撃力を推定するアルゴリズムについて関連する学会で公表した.粘弾性モデルと衝撃力を推定するアルゴリズムに関しては評価を受けた.しかし,本研究では裸足状態での運動について衝撃力を推定していることから,靴の特性を考慮したアルゴリズムの開発が急務であることが認識された. 2)衝撃力を推定するアルゴリズムに靴の粘弾性特性を反映させるため,ランニングシューズのソールに対して重量物を落下させ,ソールに加えられた力と変位の関係を求める試験を実施した.力と変位の関係からシューズソールの粘弾性特性を表現するアルゴリズムを検討した. 3)シューズソールの粘弾性特性を加味した着地時の衝撃力を推定するアルゴリズムを開発した. 4)ランニングシューズ着用時の走動作について,動作解析と床反力計による衝撃力計測を実施し,下肢-シューズ系の粘弾性特性を考慮した着地衝撃を推定するアルゴリズムの妥当性を検証した.着地時の衝撃力と下肢の粘弾性モデルによる衝撃力の推定値は概ね一致し,アルゴリズムの精度が比較的高いことが立証された.このモデルを適用することにより下肢の粘弾性特性が推定でき,実際の下肢の加速度と比較することで,着地衝撃の下肢の伝達特性を明らかにできることが期待される.
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