研究概要 |
本年度は,21年度からの3年計画の3年目である。これまでに、垂直跳びや立ち幅跳びというその場からの跳躍において、跳躍距離や跳躍方向と跳躍踏切動作時の筋長や筋活動の関係を調べるために実験をしてきた。 これまでの実験データを基にして、跳躍踏切動作時の腓腹筋の筋長の変化について、筋長の変化率が0以下(筋長が変化しない、または、短縮する)となるタイミングを変化させたときの跳躍方向に変化についてコンピュータシミュレーションを行った。シミュレーションモデルは、3体節2関節の下肢を模した。大腿部及び下腿部は長さ160mm×14mmの長方形、足部は141mm×10mm×7.0711mm×10mm×100mmの変形5角形とし、それぞれの重量を200g、200g、80gとした。膝関節に伸展方向の駆動源を配置して、膝関節の屈曲と足関節の底屈に同時に作用する二関節筋を模した駆動源を配置した。シミュレーションの初期姿勢は膝関節と足関節が90度になるようにした。二関節筋を模した駆動源は直動アクチェータとし、動作開始から筋長が引き伸ばされ、指定したタイミングでアクチュエータの駆動力が発揮されて筋長の変化率が0となるようにした。指定されたタイミングは、0、5、10、15、20、25、30、35、40、45msであった。跳躍方向の評価には下肢を模したモデルの重心速度ベクトルを用いた。二関節筋を模した駆動源が力を発揮するタイミングを遅くすると、水平方向の重心速度が増大する傾向にあり、また、速度ベクトルの大きさは、駆動源の力発揮のタイミングが0、5、10、15msまではほぼ同等で、その区間に重心速度ベクトルの方向は水平から90度から84度になり、45msのタイミングでは80度となり、二関節筋を模した駆動源の力発揮のタイミングによって、跳躍方向が変化することが分かった。
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