研究概要 |
本研究は、サッカーのキック動作におけるボールインパクトが、身体発育に伴う足部部分質量増加の影響を受けながら、どのように習熟しておくかをバイオメカニクス的な観点から精査するものであり、その過程を横断的に明らかにするとともに、短期であるが、研究機関内にわたりその変化を追跡することであった。本年度は実験手法を確立したうえで、横断的な測定を開始することを計画し、予備実験によって実験手法を確立した上で、JFAアカデミー(福島)に所属するユースサッカー選手(13歳~16歳)45名を対象に現有の3台の超高速度カメラを用いてインステップキックのボールインパクト過程を毎秒2000コマの速度で撮影し、ボールインパクト中の足部とボールの挙動の3次元動作解析を行った。また、すべての被検者の足部の3次元形状をレーザースキャナーによって計測し、そこから足部部分質量にもっとも関係性が深いと考えられる足部体積を算出した。インパクト直前の足部速度とボール速度の間には強い正の相関関係(r=0.88, p<0.001)がみられた一方、足部体積とボール速度(r=0.30, p<0.05)および足部体積とインパクトの効率の指標である足部-ボール速度比との間には弱い相関関係しかみられなかった。この結果は、本研究で対象とした技術レベルに大きな差がないと被検者群において足部質量は、ボールインパクトに対してそれほど大きな影響を与えないことが示唆された。また、足部体積から推定した足部質量は、0.87±0.11kgとなり、Striking massに対して足部(+シューズ)質量が占める割合は、70.0±7.2%であった。この値は、体重に対する簡便な推定式で求めた足部質量に対して10%ほど小さく、従来の方法では足部質量の貢献を大きく見積もってしまう傾向がみられた
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