本研究課題3年目(最終年度)にあたる今年度は、過去2年間に行った、瞬時の同時的情報処理能力としてのワーキングメモリに関する認知心理学、神経生理学などの多分野にわたる文献学的検討ならびに背景脳波と機能局在ならびに事象関連電位との関連性、特に眼球運動や脳波EEGをもとにした認知情報処理用式についての基礎的な実験結果に基づき、競技場面における同時的情報処理を最適化する方略について、以下の項目についてスポーツ選手の認知様式との関連性から明らかにした。特に昨年度までに完了できなかったEEGバイオフィードバック技法による同時的情報処理能力向上トレーニングに関し、認知様式に関したCNVの構成成分からスポーツにおける同時的情報処理の典型例として競争事態を取り上げ、検討を行った。さらに3年間の研究成果について、報告書(A4版総頁64)を作成した。 1.競争場面の認知様式とその精神生理的反応について テニスの試合場面におけるサービス時において高特性不安者は対戦相手に対する認知に大きな違いが見られ、レベルの低い対戦相手の時の方が顕著に状態不安が高くなることを見出し、心拍変動との対応関係からも明らかにした。 2.EEGバイオフィードバックの為の情報方略 EEGバイオフィードバックとして何をフィードバック情報として提示したらよいのかついて、大学生49名を対象に、被験者変数として競争心の高低を取り上げて実験を行った結果、同一場面において競争心の高い被験者ではCNVの後期成分の提示が有効であり、低い被験者ではCNVの早期成分が有効であることを見出した。
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