研究概要 |
高齢者の転倒・骨折が寝たきりにつながるケースが多発していることから,転倒予防の必要性が認識され,転倒予防のための筋力トレーニング,特に股関節まわりの筋力トレーニングが推奨されている.しかし股関節筋力を測定する方法は確立されていないため,トレーニング効果の評価もおこなえないのが現状である.そこで本研究は,股関節筋力を直接的に測定する新しい測定機器および測定方法を開発することを目的とした. これまでアイソメトリックおよび動的筋力の測定機を開発したが,前年度までの研究により,動的筋力の測定は困難であることから,アイソメトリックな筋力の測定方法を採用することとなったが,身体の固定方法などにいくつかの問題点があることから,本年度はそれらを解決し,実用に耐えうる測定機器を開発することを目的とした. 測定方法においては,背もたれを地面から150度程度に傾斜をつけ,それにともなって座部も30度程度傾けることにより,体幹の角度が固定され,力発揮がしやすくなった.また膝の部分にスライド式のアタッチメントを取り付けることにより,大腿の長さに応じた測定が可能となった. 改良された測定機を用いて,中高齢者に対しての測定を実施し,股関節筋力における年齢毎の基準値を作成した. これらの研究結果から,開発された股関節筋力計が,股関節筋力測定に対して有効であることが確認された.
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