研究概要 |
中学校での武道種目の実施状況と,2012年度からの新学習指導要領への対応状況を明らかにするため,全国から1,000校を無作為抽出し,質問紙調査を実施した.回答が得られた455校について分析した結果,体育の授業で武道種目を実施していない学校が15.2%みられた.武道種目を実施している施設としては,学校の武道場が51.0%と半数を占めたが体育館も38.7%に上っている.実施種目としては柔道が67.3%と最も多く,剣道は26.3%であった.一方,武道の必修化に向けて整備が必要なこととして,「用具・教材を購入するための予算」「道着や防具など用具・教材を揃えること」が強く求められていることが明らかとなった.一方,地域の施設を利用することや他校との連携,地域の指導者や団体との連携については,比較的ニーズは低いことが明らかとなった.わずかではあるが,教室という回答もみられ(2.6%),安全面からも必修化に向けた対応が求められる.これを武道を実施している学校と実施していない学校とで比較したところ,設定した13項目のうち8項目で有意な差が認められた.実施していない学校では,地域の指導者や武道種目団体からの協力や他校との連携を,実施している学校よりも強く求めており,用具・教材の必要性と合わせて,人的資源へのニーズが強いことが明らかとなった.武道上の整備や場所の確保については,有意な差は認められなかった.回答者のうち,武道種目の段位を有する者は約6割(59.6%)で段位を持っていない者が40%あまりみられた.両者の間には,必修化に向けて必要とする内容にも差がみられ,とりわけ段位を有しない者は指導体制に関連する項目に必要性を強く感じている様子が明らかになった.
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