研究概要 |
常圧低酸素環境下における滞在やトレーニング効果については,多くの報告がある。しかし,そのほとんどが,高所トレーニングに変わる方法としての,競技能力向上に関する研究である。常圧低酸素システムが民間のトレーニングジムなどにも導入され,一般人にとっても身近なものとなっている現在,一般人の健康・体力つくりや生活習慣病予防に関して検討した報告はほとんど見られない。そこで平成21年度は,常圧低酸素環境に急性暴露した際の生体応答(呼吸筋の酸素消費量の変化および筋出力の変化)について検討した。被験者として健康な男子大学生8名を用い,常圧低酸素環境(酸素濃度16%)への滞在1時間後に,等速性筋力および運動中の呼吸筋の酸素消費量を測定し,常酸素環境と比較した。その結果,等速性筋力には低酸素環境の影響を認めることはできなかつた。しかし低酸素環境での運動時,換気量の亢進が大きな要因となり,常酸素環境よりもより多くの酸素を呼吸筋が消費することが明らかとなった。平成22年度以降はこれらの基礎資料を基に持久的トレーニングや筋力トレーニングによって、一般人の健康・体力つくりに有効かどうかを検討する。
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