研究概要 |
日ごろ運動習慣のない男子学生8名を対象に、スプリント運動時に無酸素代謝の亢進が期待される酸素濃度を明らかにしようとした。無酸素代謝の亢進は、6つの異なる酸素濃度(20.94%O_2,16.43%O_2,15.43%O_2,14.49%O_2,13.59%O_2,16.43%O_2および12.74%O_2)をダグラスバックから吸気しながらで、ウィンゲート無酸素テストを1日に1回実施して評価した。ウィンゲート無酸素テスト時の体重1kgあたりの機械的パワー出力と平均回転数に、酸素濃度による違いは認められなかった。一方、運動中の体重1kgあたりの酸素摂取量は、20.94%O_2と比較して13.59%O_2(標高3500m相当)、12.74%O_2(標高4000m相当)濃度条件下で有意に低下したが(P<0.05)、体重1kgあたりの酸素需要量および酸素借には酸素濃度による違いは認められなかった。また、総エネルギー消費量(酸素需要量)に対する無酸素的エネルギー消費量(酸素借)の割合は、20.94%O_2と比較して13.59%O_2(標高3500m相当)以降増加する傾向があったが、その差は統計的には有意ではなかった。これらの結果は、一般成人男子においても、鍛錬者同様に、13.59%O_2以下の酸素濃度で無酸素的エネルギー代謝の亢進が生じる可能性を示唆するが、統計的に有意でなかったことから、トレーニング実験前に現象の詳細な検討が必要である。
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