研究概要 |
【目的】低酸素環境下で超最大強度のランニングを行うと、無酸素代謝の亢進が生ずることが示されている。しかし、これまでのトレーニング研究の結果には矛盾が見られる。その背景として、コントロール群の欠如、用いられた酸素濃度の違いが挙げられる。そこで、本研究では、無酸素代謝の亢進が明らかにされた酸素濃度を用いてケースコントロールによるトレーニング実験を行い、無酸素代謝能力を改善させるための新たなトレーニング方法を開発すること目的とした。 【方法】男子サッカー選手14名をコントロール群とトレーニング群に分け(それぞれ7名)、トレーニング群には、無酸素代謝の亢進が確認された低酸素条件下(13.6%O2)で、体重の7.5%の負荷による40秒間の超最大ペダリング運動を1日2回、10目間にわたって行わせた。コントロール群には、同じ超最大ペダリング運動トレーニングを正常酸素下(20.9%)で行わせた。実験に当たっては、処方するトレーニング以外のトレーニングや日常生活は、コントロール群とトレーニング群で同様となるように配慮した。トレーニング効果は、トレーニング期間前後に運動時間40秒のウインゲートテストを実施し、運動中の平均回転数、平均パワー、酸素借、酸素需要量に占める無酸素代謝の割合、および運動後の血中乳酸濃度を測定して評価した。 【結果】コントロール群の平均回転数、平均パワー、血中乳酸濃度および酸素借には、トレーニング期間前後で、有意な変化は認められなかった。一方、トレーニング群の平均回転数、平均パワーおよび血中乳酸濃度はトレーニング2期間後にやや増加する傾向にあったが(108±10→114±2rpm,519±71→556±59W,12.92±2.5→13.8±1.6mM)、その差は統計的には有意ではなかった。
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