1.研究の具体的内容 (1)研究の目標 本研究は、コーディネーション運動の行動選択能力への影響を検証することを目的とした。前年度までに、短時間のコーディネーション運動によって行動選択能力が改善されることが示された。このとき、一過性のコーディネーション運動では単純反応時間への影響は観察されなかった。つまり、今回実施した短時間のコーディネーション運動の効果は、行動選択という高次脳機能に限定したものであった可能性が明らかとなった。本年度は、このような一過性のコーディネーション運動時に、同時にどの程度の運動能力の改善が見られるのかについて検証を進めた。 (2)実験結果と研究成果 前年度までに実施された一過性のコーディネーション運動を行わせた時に、同時に全身協調動作についても有意な機能改善が観察された。本年度の結果は、コーディネーション運動による能力改善に伴って、同時に高次脳神経系の機能が高まっていることを示すものであった。 2.意義 コーディネーション運動が日本の体育分野に利用されるようになったのは近年(2005年以降)のことであり、その効果についての科学的な証明は十分に得られていない。本研究は、神経生理学的手法を用いて同運動が高次脳機能へ及ぼす効能を証明した。 3.重要性 本研究で得られた結果は、直ちに体育現場へと還元できる速効性を有している。本年度は、得られた研究成果に対して、千葉県体育学会より学会賞を受賞した。
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