研究の結果は以下のように要約される。ブランデージ会長時代、オリンピック・ムーブメントの対象は、旧ソ連・東欧諸国の台頭、人種差別問題への積極的な取り組みとアフリカ諸国のIOC加盟などの要因によって拡大した。この状況は、IOCにとって、大会規模縮小問題を深刻化させた。この解決策として、IOCはオリンピズムの観点から「あらゆる差別のない大会への参加」を保障する、オリンピック競技の基準を設けるための議論を行った。この試みの結果、IOCはジェンダー規範にもとづき女性の参加を阻害する論理を転換せざるを得なかった。
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