今年度は過去3年間の調査をふまえた総合考察を行うとともに、8-9月に開催されたロンドンパラリンピック大会の現地視察を行った。 全国の総合型地域スポーツクラブの約3割にすでに障害者が参加していた。規模の大きなクラブに障害者が所属している場合が多い。障害者が参加するために様々な工夫をしているところもあるが、配慮なく参加している場合もあった。日本体育協会公認指導者に障害者のスポーツ指導のために必要なものについて尋ねたところ、リスクマネジメントや障がい者との対応方法に不安を持っている人が多いことが明らかになった。全国障害者スポーツ大会参加の身体障害者に対する調査結果の比較(1995年と2010年)からは、練習時間の長時間化、障害者スポーツ施設などで練習する人の増加、障害のない人との練習の機会の増加が見られた。スポーツに対する意識では「勝つことを目指す」「大会を目指して頑張る」「技術向上を目指したい」「公式ルールでやりたい」など競技性の高さを示す回答の比率が増えていた。 これらの結果から障害者スポーツはよりスポーツ化し、また総合型地域スポーツクラブなど一般のスポーツクラブでスポーツ活動する人も増加している。そのため、障害者も指導できる指導者の養成が急務であり、とりわけ障害者への対応方法や安全面での知識の普及が求められていることが明らかになった。 ロンドンパラリンピックの特徴として①は競技レベルの高さ(ex.陸上男子100m弱視クラス(T13)の優勝記録10秒46、下肢障害クラス(T44)10秒90など)。②観客の多さ(ex.チケット販売数は270万枚で過去最高)。③観客のマナーの良さ。④組織員会がオリンピックと同等の扱いを行ったことの4つを上げることができる。
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