研究費支給の最終年度にあたり、研究のまとめ、発表・紹介が主な内容となった。 年少期を逃すと後々の習得が難しい「ルック・アラウンド(キョロキョロ)」という、集団球技競技者にとって非常に大切な動作習慣を意図的に短期間で身につけさせることを狙ってこの研究を行なった。 指導者から「普段ボールばかり見ていて周りを見る習慣がない」と評価された小学生競技者はヘッドビデオカメラ映像を自分の擬似視野として客観視し、全体を捉えたビデオ録画映像と見比べながら「どこを見ているか」を意識することによって、動作習慣の改善を図ることができた。 これらの成果は研究者が各地で行なうクリニックなどで事例紹介した。また今回の研究成果を含めた「視る」ことの重要性について気づき、ビジョン能力を高める事に積極的に取り組んでもらうことを目的として、運動処方としての遊びの事例集を創作することができた。前年度に著した本に、DVDに編集した動画を組み合わせることで分かり易く、利用しやすい教材として提供することができた。 携帯ゲーム遊びに熱中し、運動離れ、運動不足による身体機能の発育・発達不良が懸念される昨今の小学生。楽しみながら身体を動かす機会・環境を設営することは、大人の務めといえる。今回の研究でも、子どもたちは楽しみながら実験に協力してくれた。子どもたちの情緒を常に斟酌しながら、良い教材を提供することで、子どもたちは私達大人が想像するより格段に早く動作習慣を獲得できることが分かった。
|