研究概要 |
本研究は運動時に重要な循環系調節を行うANP,BNPの遺伝子発現を近年開発され普及しているリアルタイムPCR法を主として利用して運動回復期の遺伝子発現を定量的に研究するものである。運動の回復期の遺伝子発現調節(合成速度)の理解が深まれば、競技指向でも健康志向でもトレーニング頻度(つまり休息期の時間)を合理的に決定することができるようになる。また、トレーニング効果発現の原理を示す一つのモデルとなる。 平成21年度は基礎的な実験を行った。8週齢のウイスター系雄ラットを購入し、大型バケツを用いて35度の水中でラットに30分、または3時間の水泳を行わせた。その直後および24時間後に麻酔下で開腹し、心臓から採血した。その後心臓を摘出し、心臓から右心房、左心房、右心室を切り分けた。これらを液体窒素で冷凍し-80度で冷凍保存した。血液は遠心分離し血漿を-80度で冷凍保存した。これらは一括して測定に用いた。 ANP,BNPの測定ではまず採取した組織を5分間ボイルし、分解酵素を失活させた。その後ポリトロンあるいはバイオマッシャーを用いてホモジナイズし、上清を採取した。これらからSepPak C18を用い、ANP、BNPを抽出した後、これらの濃度を放射免疫測定法(RIA),または酵素免疫測定法(EIA)によって測定を行った。 ANPmRNA、BNPmRNAの測定では採取した右心房、左心房、右心室、左心室から一部を切りとり-80度で冷凍保存した。 その後核酸抽出用セパゾールを用いてRNAを抽出した。RNAからcDNAを作り、その後リアルタイムPCR法によってANPmRNA、BNPmRNAを測定を行った。現在引き続き測定を行っている。
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