研究概要 |
本研究は運動時に重要な循環系調節を行うANP,BNPの遺伝子発現を近年開発され普及しているリアルタイムPCR測定装置によるRT-PCR法を主として利用してmRNAを定量的に測定するとともに実際に合成されたANP,BNPを酵素免疫測定法や放射免疫測定法を用いて測定することにより、運動回復期の遺伝子発現を定量的に研究するものである。運動の回復期の遺伝子発現調節(合成速度)の理解が深まれば、競技指向でも健康志向でもトレーニング頻度(つまり休息期の時間)を合理的に決定することができるようになる。また、トレーニング効果発現の原理を示す一つのモデルとなる。 現在高血圧患者に運動療法も行われていることから、高血圧ラットも用いて、高血圧時の運動についてのデータも取得することを計画しているのであるが、平成22年度はまず正常血圧ラットについて運動時間とANP,BNPの分泌の関係を検討するためウイスター系雄ラットを用いて、30分あるいは3時間の水泳をおこなわせた。その運動直後、および24時間後にラットを麻酔し採血および心臓を摘出した。これらの検体を冷凍保存後、血中のANP,BNP濃度、心臓の各部位(右心房、左心房、右心室、左心室)のこれらホルモンの含量を酵素免疫測定法や放射免疫測定法により定量した。また心臓の各部位からRNAを抽出し、リアルタイムRT-PCR法によりANPmRNA,BNPmRNAを測定した。 現在、この測定を引き続き行っており、データがまとまった段階で日本運動生理学会、日本体力医学会での学会発表、またこれらの学会誌に投稿する予定である。
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