研究概要 |
低い目標筋力での随意的筋力発揮時の筋音は漸次増加傾向にある。この増加傾向の因子について実験的に求めることに目的を設定した。「持続的筋力発揮時の運動単位筋振動信号と運動単位の同期化活動」をテーマに、単一運動単位活動電位波形から観察する運動単位と背景活動する運動単位の同期活動を求め、単一運動単位の筋音波形の変化動態を観察した。単一運動単位活動電位波形は通常の表面電極法により、筋音信号はコンデンサー型マイクロフォンを用いて内側広筋、外側広筋から導出した。 単一運動単位筋音信号は持続的筋力発揮時(10%最大筋力以下の目標筋力)に筋全体の筋音信号とともに暫時増加傾向にあった。しかし、運動単位筋音信号は運動単位間の同期化活動の増加傾向には一致しなかった。これまで提唱されている筋音信号の増大因子の一つ「運動単位の同期化活動の増加」は実験的に否定され、他の因子から解釈する必要があるものと考えられた。(体力科学 58,2009) 持続的筋力発揮時における単一運動単位の放電間隔は初期延長、その後短縮する傾向にある。また、運動単位筋音信号は放電間隔に反比例するとされている。持続的筋力発揮時の運動単位放電間隔と筋音信号の関係を求めたところ、ここでも筋音の放電間隔依存性は見られなかった(論文準備中)。 更に、他の増大因子を見出す必要がある。
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