研究概要 |
骨格筋は収縮時に"音"を発生する。この筋音信号(MMG)は骨格筋の収縮状態あるいは運動単位(MU)の活動様式を反映する可能性が示唆されてきている。骨格筋の収縮状態に着目した時、筋線維束に対する電気刺激頻度、随意運動下の運動単位においてはその発火頻度に対してMMG振幅は反比例関係にあることが報告されている。すなわち興奮頻度の増加は筋線維(群)を単収縮から不完全強縮、完全強縮へと状態変化をもたらし、筋線維の"動き"が小さくなることにMMG振幅との反比例関係が成立すると考えられている。本報告ではMUの活動参加に注目し、内側広筋または外側広筋よりMES,MUAP,MMGおよびMUMSを同時に導出し、PICC中におけるMUの活動参加とiMMG,iMUMS,MS-V_<positive>の変化動態について観察を行った。観察対象MUの活動参加閾値張力以下の目標筋力でPICCを実施し、PICC経過途中でMUの活動参加を発現させる事を試みた。MU活動参加時にiMMGへの影響、またPICC後半のiMMGの増大が活動参加から解釈可能か、を検討することに目的を置いた。 1)PICC時のiMMGは初期一定値、後半で増大する傾向にあった。iMUMSは観察対象MUの活動参加で有意な高値となった。PICC後期にさらに増大した。2)MU活動参加時点と前後3秒間のiMUMSを比較した時、活動参加時点は前後値に比較し有意に高値となった。しかし、観察したMUにより前値と後値間には有意差が見られない場合もあった。これはMU活動参加直後の持続した放電に依存したMUMS波形振幅の減少程度に起因した現象であった。3)MUAPで加算平均し求めたMS-V_<positive>はiMMG,iMUMSと類似した変化動態にあった。すなわち、iMMG一定相に活動参加した場合、後半部増大相まで一定値にあった。しかし、iMMG増大期に活動参加した時、一定相を有さず増大に推移した。MUの活動状況のみならず、筋内および筋線維(群)に発現する状態変化からMMG,MUMS波形の検討も必要と考える。
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