研究概要 |
1.平成21,22年度に行った実験の結果は、抗酸化物質の投与は活性酸素の細胞内シグナリングを抑えることにより好ましい適応機制の成立を阻害するとの仮説を支持しなかった。仮説に反する所見が得られた原因として,ビタミンC(VC)投与量が少なかったことが考えられた。そこで、平成23年には、VCの最大投与量を増す条件下で、ラットの持久性トレーニングによる骨格筋の酸化能力の向上がVC投与により抑制されるか否かを再検討した。さらに、持久性トレーニングによる糖代謝の改善がVC投与により抑制されるか否かについても検討した。 2.VCの最大投与量を増す条件下で,持久性トレーニング時における骨格筋の酸化能力向上をVC投与が抑制するか否かを検討するため,ラットをコントロール群,トレーニング(T)群,VC少量投与T群,VC中等度投与T群およびVC多量投与T群に分けた.VC多量投与T群への投与量は750mg/kg/dayとした。今回の検討でも,間欠的高強摩水泳T後に,CS活性およびPGC-1αタンパク質量はTを行った全ての群でControl群と比較しで有意に高値を示したが,VC投与の影響はなかった。 3.VC投与がTによる糖代謝改善効果を妨げるか否かを検討した実験では,ラットをT群,T+VC群,VC群およびControl群の4群に分けた.T群及びT+VC群に1日に45分間の休憩をはさんだ3時間2セットの水泳Tを10日間課した.水泳Tが終了した時点で,全てのラットに対して腹腔内糖負荷テストを施した。血中グルコース濃度とインスリン濃度から耐糖能を示すAUC,インスリン感受性を示すISI(comp),インスリン抵抗性を示すHOMA-Rを算出した.得られた結果はTによって引き起こされる糖代謝改善はVC投与により影響されないことを示した。
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