研究概要 |
短縮性収縮による収縮力の減退は、筋小胞体の機能不全がその大きな要因であることが知られている。筋が引き伸ばされながら力を発揮する形態の伸張性収縮が行われると、筋発揮張力の直後の減少だけでなく2~3日後に減少のピークが発現すること、また遅発性の筋痛が生じることなどから、短縮性収縮とは異なる筋疲労の発生メカニズムが存在することが知られつつあるが、不明確な部分も多い。そこで本研究では伸張性収縮直後、及び回復過程における筋発揮張力と筋収縮機能変化との関係について検討する。平成22年度は、伸張性の収縮回数の違いに依存して発揮張力の減退が、興奮収縮連関の機能障害に依存するのか否かを検討するために、平成21年度で得られた結果を鑑み、新たにWistar系雄性ラット32匹に伸張性収縮(ECC)、あるいは等尺性収縮を負荷した。ECC群には右脚膝関節角度30~180゜で電動式脚伸展装置により電気刺激を伴う脚伸展を、ISO群には右脚膝関節角度90゜での電気刺激による等尺性筋収縮を、それぞれ1秒間の筋収縮を100,200,300,500回行わせた。なお、左脚は対照脚とした。筋収縮終了直後、長指伸筋及び前脛骨筋を分析に供した。最大等尺性収縮力はECC及びISOとともに、全ての収縮回数において対照脚と比較して有意な減少が確認された。しかしながら、収縮回数が同じ場合、ISOと比較してECCによるその減少は顕著に大きかったことから、収縮様式の違いによる筋収縮機能の減退メカニズムに差異があることが確認された。
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