研究課題/領域番号 |
21500636
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研究機関 | 国士舘大学 |
研究代表者 |
日下部 辰三 国士舘大学, 体育学部, 教授 (80117663)
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研究分担者 |
松田 秀樹 横浜市立大学, 医学部, 准教授 (80305458)
山本 欣郎 岩手大学, 農学部, 教授 (10252123)
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キーワード | 高地トレーニング / 高血圧 / SHR / 化学受容器 / 頸動脈小体 / 免疫組織化学 / カテコラミン合成酵素 / ノルアドレナリン合成酵素 |
研究概要 |
高血圧症の病態モデルである高血圧自然発症ラット(SHR)における頚動脈小体の形態変化ならびにカテコラミン合成の関連酵素であるtyrosine hydroxylase (TH)とノルアドレナリン合成酵素であるdopamine β-hydroxylase (DBH)の発現の動態変化について、コントロール・ラット(WKY)と比較検討した。得られた結果は次の2点に要約される。1)頚動脈小体の三次元像を連続切片をもとに作成した立体再構築で比較すると、昨年度報告したように、SHRの頚動脈正体は肥大拡張していたが、三次元解析により内頚動脈に沿って伸長ならびに扁平化していることがより鮮明になった。2)頚動脈小体におけるTH・DBH蛍光染色像を比較すると、THはWKYとSHRの頚動脈正体において化学受容細胞および神経線維にみられ、両系統のTH染色性に大きな違いは認められなかった。DBHのに関しては、WKYでは主に血管周囲の神経線維に陽性反応がみられ、DBH陽性の化学受容細胞はほとんど観察されなかったが、SHRではWKYに比べてDBH陽性神経線維は減少し、DBH陽性の化学受容細胞の数は増加した。 これらの結果から、高血圧状態においては低酸素環境とは無関係にノルアドレナリン合成能が高まっていることが示唆された。ノルアドレナリンは肥大拡張した頚動脈小体の興奮を抑制し、SHRの分時換気量はWHYと変わりないということを考慮すると、定常酸素濃度において肥大拡張したSHRの頚動脈小体の興奮はノルアドレナリンによって抑制的に調節されている可能性がある。
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