研究課題
運動を行うと骨格筋インスリン感受性が上昇するが、その分子メカニズムは不明である。我々は骨格筋における核内受容体であるNuclear Receptor subfamily 4 group A(NR4A)のmRNA発現が運動によって増加することを明らかにしており、"運動はこのNR4A遺伝子発現増加を介してインスリン感受性を上昇させる"との仮説を立てて検証した。ラットに3時間の水泳運動を負荷したところ上肢の滑車上筋においてインスリン感受性ならびにNR4A3 mRNA発現が上昇するもののNR4A3タンパク質発現レベルには変化なかった。また、ラットに3時間のトレッドミル走行運動を負荷したところ下肢のヒラメ筋においてインスリン感受性ならびにNR4A3 mRNA発現は上昇するもののNR4A3タンパク質発現レベルには変化なかった。運動は骨格筋のAMPK活性化を介してインスリン感受性を上昇させる可能性があるが、AICAR投与によって骨格筋のAMPKを薬理的に活性化することによって滑車上筋のインスリン感受性やNR4A3 mRNA発現は上昇させることができた。しかし、NR4A3タンパク質発現レベルには変化なかった。一方、ラットの片脚下肢をギブス固定によって6時間固定して不活動状態においたところ、ヒラメ筋ではインスリン感受性とともにNR4A3タンパク質発現レベルの減少がみられた。このように運動やAMPK活性化によるインスリン感受性上昇にNR4A3タンパク質発現レベル増加は関与しないが、不活動によるインスリン感受性低下にNR4A3タンパク質発現レベル減少が関係している可能性がある。
すべて 2009
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J.Appl.Physiol. 106
ページ: 1826-1831