研究課題
運動による骨格筋インスリン感受性上昇の機序に核内受容体であるNuclear Receptor subfamily 4 group A(NR4A)の遺伝子発現が関与する可能性を検討している。2009年度にはNR4A3の関与を検討したが、2010年度にはNR4A1について検討した。ラットに3時間の水泳運動を負荷したところ上肢筋においてインスリン感受性ならびにNR4A1mRNA発現が上昇するもののNR4A1タンパク質発現に変化はなかった。また、ラットに3時間のトレッドミル走行運動を負荷したところ下肢筋においてインスリン感受性ならびにNR4A1 mRNA発現は上昇するもののNR4A1タンパク質発現に変化はなかった。また、ラットの片脚下肢をギブス固定して不活動にすると、遅筋であるヒラメ筋ではインスリン感受性が低下するが、NR4A1タンパク質発現は減少しなかった。一方、不活動筋でNR4A3タンパク質発現量は減少した。このように身体活動によるインスリン感受性変化にはNR4A1でなくてNR4A3遺伝子発現が関わっているかもしれない。NR4A3mRNA発現は交感神経によって調節されるが、今回、我々はβアドレナリン受容体アゴニストであるclenbuterolをラットに投与すると、速筋である上腕三頭筋におけるNR4A3のタンパク質発現が増加することを観察した。しかし、この際、インスリン感受性の上昇はみられなかった。また、交感神経活動阻害薬であるguanethidineをラットに投与したところ遅筋であるヒラメ筋におけるインスリン感受性は低下しなかった。また、このときNR4A3タンパク質発現量も変化しなかった。現在のところ、骨格筋のNR4A3遺伝子発現とインスリン感受性に因果関係が存在する可能性については不明である。
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J.Physiol.Sci.
巻: 61 ページ: 1-11