研究概要 |
骨格筋核内受容体であるNuclear Receptor subfamily group 4(NR4A)のタンパク質発現量が減少すると骨格筋にインスリン抵抗性が生じる可能性がある。今年度は、高脂肪食摂取によって肥満させた動物のインスリン抵抗性が生じている骨格筋でNR4Aタンパク質発現量が減少する可能性について検討した。ラットに高脂肪食を3週間摂取させたところ、上肢のEpitrochlearis筋ではインスリン刺激時の糖取り込み速度の低下とともにNR4A3タンパク質発現量の減少傾向がみられた。しかし、個体差が大きかったことから有意な変化には至らなかった。 また、骨格筋におけるNR4Aタンパク質発現量とインスリン感受性の因果関係には不明な点が残る。そこで、ラット骨格筋に急性にNR4A3遺伝子を導入し,機能評価を試みた。熱ショックを与えることによって、C末端にMyc-tagが付加されたNR4A3 Human cDNA ORF Colneを大腸菌(DH5α bacteria)に組み込み形質転換させた.その後,形質転換された大腸菌を単離し,LB液体培地において大量増殖させた後にNR4A3 cDNAを精製した.さらに、ラットに麻酔をかけ,前脛骨筋を露出して,DNAエレクトロポレーション法によるNR4A3 cDNA導入を試みた.その後、NR4A3タンパク質発現量の測定をウエスタンブロッティング法を用いて試みたが、発現量増加を観察することができなかった。今後、NR4A3タンパク質発現量を確実に増やすことができるエレクトロポレーション条件の検討を行った後に、インスリン感受性との因果関係を検討する必要がある。
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