研究概要 |
加圧トレーニングとは,四肢の根元を適度に圧迫して,筋内の血流を制限した状態で軽度のトレーニングを行うことにより,激しいトレーニングを行ったときと同程度の筋肥大を引き起こすトレーニング方法である。本研究では加圧トレーニングにおける筋肥大のメカニズムを明らかにするため,活性化した筋衛星細胞のモデルとして一般的に使用されている筋芽細胞株を使用し,その増殖速度におよぼす各要因の効果,あるいはそれらの相乗効果を検討した。 筋芽細胞を2%の酸素濃度(低酸素刺激)にて1,2時間培養し,その後通常の約20%の酸素濃度で培養した。生体内での虚血(血流制限)では酸素と同様に栄養分も欠乏する。そこで,低酸素状態では栄養分が通常より少ない培養液を使用した。そのときの細胞増殖速度をアラマーブルー法により計測し,低酸素刺激時間,その後の培養時間,初期細胞数等との関係を検討した。 また,加圧トレーニングにおいては,乳酸の増加,成長ホルモンの増加,種々の増殖因子の増加が起こるため,筋芽細胞の培養液に乳酸あるいは成長ホルモン,PDGF,IGF-I,TGF-β,FGF等の成長因子を添加し,細胞増殖速度におよぼす影響を検討した。さらに,トレーニングにおいて成長ホルモン同様に分泌が増えるノルアドレナリン(神経伝達物質)についても検討した。 その結果,乳酸や成長ホルモン,増殖因子の影響よりも低酸素・低栄養にすることの方が細胞増殖能を増加させることがわかった。
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