研究概要 |
加圧トレーニングとは,四肢の根元を適度に圧迫して,筋内の血流を制限した状態で軽度のトレーニングを行うことにより,激しいトレーニングを行ったときと同程度の筋肥大を引き起こすトレーニング方法である。本研究では加圧トレーニングにおける筋肥大のメカニズムを明らかにするため,活性化した筋衛星細胞のモデルとして一般的に使用されている筋芽細胞株を使用し,その増殖速度におよぼす各要因の効果,あるいはそれらの相乗効果を検討した。 本年度では昨年度に引き続き加圧トレーニングの際に発生する、低酸素低栄養、乳酸あるいは成長ホルモン,ノルアドレナリン,PDGF,IGF-I,TGF-β,FGF等の成長因子が筋芽細胞の増殖速度におよぼす影響を検討した。その結果,乳酸や成長ホルモン,増殖因子の影響はほとんどなく、低酸素・低栄養刺激が細胞増殖能におよぼす影響が大きいことがわかった。 また,本年度では筋芽細胞を2%の酸素濃度(低酸素刺激)にて1時間培養する時に,10%あるいは18%の伸展ひずみを0.5Hzで繰り返し与え,加圧トレーニング中に行う筋肉の収縮運動が筋芽細胞の増殖におよぼす影響を検討した。低酸素・繰り返しひずみ負荷後,通常の約20%の酸素濃度で培養し,細胞増殖速度をアラマーブルー法により計測した。当年度終了時にはまだ途中段階であったが,通常の運動時の生体内での筋の長さの変化と同等の10%の繰り返し引張ひずみを筋芽細胞に与えることにより,細胞増殖能が増加することが明らかとなった。
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