研究概要 |
本研究は,介護予防プログラムを受けようとする当事者が,自分の判断でプログラム参加の必要性を認識し,自分自身でニーズを同定する当事者主体の評価システムを開発しようとするものである.介護予防プログラムの必要性を専門家が決めるのではなく,当事者が決断するための評価システムである.これにより当事者は,「受け身的参加者」から,「積極的参加者」へと変化し,介護予防プログラムの効果が高まるものと予想する. H21年度においては,全国3地区4会場で自己学習型ニーズ評価システム(暫定版)を試行し,H22年度においては,評価法としての信頼性と妥当性の検討を行った.信頼性係数の算出とラッシュ分析による内部妥当性を検討した結果,「作業に関する自己評価」は健康な日本人高齢者を対象とした評価に利用可能であることが示された. H23年度は,信頼性,妥当性の検討の精度を高めるために,さらに対象者を増やして,特にこれまで少なかった都市部以外の対象者を増やす方針で調査分析を行った.この結果は現在精査中であるが,都市部と地方とで特徴的な違いがある可能性が認められている.もしそうであれば,地域によって介護予防のアプローチ方法を使い分ける仕組みづくりに役立つ有益なデータを得たことになる. 他にH23年度は,本システムを介護予防施策責任者等に広く認知してもらうための取り組みとして,学会発表のみならず地域高齢者を対象とした講習会や説明会を開催した.この成果の一つとして,次年度から沖縄市で本システムを含むプログラムの導入が決定した.
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